フェイス

あたしは何も言えなかった。


梓がそんな風にあたしのことを見ているなんて、考えたこともなかった。


梓はいつでも人気者で、一番可愛くて、自慢の友達だった。


「あ、もしかしてあなたが葉月と仲良くなったのも、あたしと同じ考え方?」


そう聞かれた瞬間、カッと頭に血が上ってしまった。


バンッと両手でテーブルを叩き、梓を睨み付ける。


「あたしは葉月の事をそんな風に見てません」


「なに怒ってんの? あの子のこと庇うのはいいけど、あまり深入りしないほうがいいよ」


梓が冷めた視線を向けて来る。


「どういうこと?」


「だってあの子、人のもの欲しがるでしょ」


「え……?」