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カナタ先輩が慣れているのかどうかなんて、確認する余裕はなかった。


頭の中は真っ白になり、自分がどうしていたのかも思い出せない。


「ナナ、好きだよ」


カナタ先輩がそう言ってあたしに何度もキスをしてくれたことだけは、よく覚えていた。


あたしがシャワーから戻ると、カナタ先輩はスマホの画面に視線を落としていた。


「シャワー、空きました」


「あぁ。じゃあ俺も言ってくるから、待ってて」


そう言い、カナタ先輩はポンッとあたしの頭をなでた。


あたしはベッドの上に座り、ボーっとカナタ先輩の後ろ姿を見送った。


自分とカナタ先輩がこんな関係になれるなんて、誰が思っただろうか?


こんな夢のような出来事があるなんて、今でも信じられないままだった。