カナタ先輩が自分のものにならなかったからと言って、あんなことをするなんてどうかしてる。


あたしはカナタ先輩と並んで歩きながら憤りを感じていた。


「ごめんなナナ。あんなこと言うなんて思ってなくて」


カナタ先輩は本当に申し訳なさそうな顔をしてそう言ってくれる。


「カナタ先輩は悪くありません。美春先輩は、カナタ先輩のことが大好きだったんだと思います」


「そうなんだろうな……」


「でも、だからってあんな風に言うなんて、最低です」


あたしは語気を強めてそう言った。


「ありがとう、俺の為に怒ってくれて」


「あんなの、誰だって怒ります」


「ナナ……」


途端にカナタ先輩が歩調を緩めたので、ぶつかってしまいそうになった。