あたしは唖然として美春先輩を見つめた。


自分が選ばれなかったからと言って、相手の悪口を言い始めるなんて思ってもいなかった。


美春先輩は性格の良さでも人気だったのに、あんなの全部嘘だったんだ。


美春先輩は、あたしのフェイスと同じように正確に仮面をつけていたに違いない。


「話はそれだけですか?」


あたしはそう聞いて、立ち上がった。


これ以上会話をしていたら、気分が悪くなる一方だ。


「ナナちゃん。あたしの話を信じて」


「……それはできません」


ため息交じりにあたしはそう言った。