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特に行きたくもないトイレへと向かっていると、後ろから足音が近づいてきた。


振り向くと、勇が走って追いかけて来るのが見える。


「葉月!」


「なに? どうしたの?」


慌てた様子の勇にあたしは驚いてそう聞いた。


「お前大丈夫なのか?」


その言葉に心臓がドクンッと跳ねた。


勇はあたしのことを心配してくれていたんだ。


嬉しいと感じて返事をしようとした、その時。


「ユナちゃんも昨日体調が悪くなって早めに帰っちゃったんだ」


勇がそう言い、あたしは口を閉じてしまった。