そんな恐怖が浮かんできた。


せっかくここまで来たのに、勇を手放すなんて絶対にできない。


「葉月、人の話聞いてる?」


彩羽が眉間にシワを寄せている。


「ごめん、聞いてなかった」


「だからさ、なんでユナって子を勇に会わせたのかって聞いてるの」


「あたし、もう勇の事なんとも思ってないから」


「え……?」


彩羽が目を見開いている。


「だからいいの」


そう言って、あたしは彩羽から視線をそらせたのだった。