「葉月!」


教室を移動したところで、後ろから勇に声をかけられた。


ユナと出合ってからの勇は、時折あたしに話しかけるようになっていた。


「勇、どうしたの?」


「実は日曜日ユナちゃんとデートなんだよ」


勇は鼻の下を伸ばしてそう言った。


相当嬉しいのかニヤニヤと笑いっぱなしだ。


「そうなんだ! よかったね、ユナとうまく行ってるんだね」


「あぁ。あの子すっげぇ美人だよな」


勇の言葉に彩羽が顔をしかめている。


あたしと勇がうまく行っていないのが気に入らないのだ。


「でも、ちょっと背が低いよな」


「え……?」


あたしは瞬きをして勇を見た。