普段の自分をすっかり忘れている。


「や、山田君は悪い人じゃないから言ってるの」


あたしは慌ててそう誤魔化した。


いつもの自信のない自分がいつの間にか消え去っている。


自分でも知らない間に。


「そっか……。そうだよね。好きになれるかどうかはわからないけど、クラスメートとしては好きだし」


「それならきっと好きになれるよ」


あたしの言葉に彩羽が笑顔になった。


「うん。ありがとう葉月。なんかいつもと違う葉月だけど、自信を持っている葉月も好きだよ」


「あ、ありがとう」


あたしは照れくさくて、頭をかいたのだった。