前回カナタ先輩に声をかけられた場所に、カナタ先輩がいるのが見えた。


ハッとして足を止める。


こちらから声をかけるワケにはいかない。


だけど、あたしがここにいるという事に気が付いてもらわないといけない。


心臓がドキドキと早く打ち始める。


あたしは大きく息を吸い込んで、カナタ先輩へと近づいていく。


視線は真っ直ぐ前を見て、目の端だけでカナタ先輩を確認する。


「あれ……」


カナタ先輩の前を通り過ぎる瞬間、そんな声が聞こえて来た。


あたしは思わず視線を向ける。


カナタ先輩と視線がぶつかり、心臓が止まりそうになった。


「君……!」