父親の部屋で会合の打ち合わせを確認し、自室に向かう。

実は、今日が会合初参加なのだ。

父が言うには世界一の組、"本城組"の組長は前例にない、お面を被った人物らしい。

身内と組員しか素顔を見たことがないのだとか。

自室に入ると、広い空間が広がっている。

流石世界2の組と言えようか。

部屋は80インチテレビにクローゼットなど家具は充実しており、キッチン等もあるので引きこもろうと思えば引きこもれる程。

俺は部屋の真中にあるソファに座った。


(世界一の本城組、か……)


緊張しないと言えば嘘になるが、そのお面組長とやらを見てみたいという気持ちの方が上だろう。

俺は制服から組の服に着替え、部屋を出る。

組長部屋へ行くと、既に親父は支度を終えていた。


「組長、支度が整いました」


親父は俺を一瞥し、行くぞ、と一言言った。

黒塗りのお高い車に乗り、会合の会場となる本城組へ向かう。

本城組は俺の組よりも比べ物にならない程にでかかった。

少しの間唖然としていた俺は親父が進むのを見て、ハッと動き始めた。


「裕翔、本城様に失礼のないようにな」


厳格な親父が俺に言った。


「はい、分かっています」


俺はそう応えると、本城組の門をくぐった。








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う、嘘だろ……

ただいま私、本城組組長の本城愛乃は戸惑っている。

何故かと言うと、仲の良い友人の息子がクラスメイト……だったような気がするからだ。私記憶力凄い良いし。

学校ではフード被ってたし、会合はお面を被るから大丈夫だろうけどね。

私は少しだけズレた狐のお面をつけ直し、コソッと様子を見続ける。

確かに今日は市ノ川組の若頭が来るって話だったけど、まさかクラスメート(?)だったとは……。

世間って狭いな。