傘に入れてくれますか?

図書室でもないし、あたし達が授業で使う美術室でもない。はたまた、屋上へ出るあの重たい扉でもない。


「ねぇ、陸斗。ここどこ?」


少し不安になって陸斗に尋ねてみるけれど、陸斗はなにも言ってくれはしない。


「いいからあけてみろよ。オレの好きな場所なんだよ。」


陸斗の言葉を信じてあたしは目の前の扉を開けることにした。


「え・・・?」


これが陸斗の好きな場所?


あたしの頭は真っ白になってしばらく動かない。


陸斗の好きな場所と言ったところは、ただ真っ白なキャンバスが置かれているだけの孤独な場所だった。


陸斗は孤独を好むの?


そう思っていると陸斗は部屋の奥へと進んで行き、真っ白な引き出しから額に入れられた絵をいくつか取り出す。


「これ、オレが描いた絵。恵美は初めて見るよな。」


陸斗はそう言いながら真っ白な壁に額を順番に掛けていく。


その絵はものすごく幻想的で、異世界があることを思い知らされるようだった。


「すごい。すごいよ、陸斗」


あたしは目を光らせて陸斗を見つめそう言った。


けれど、陸斗の表情はあたしの表情とは対照的に曇っている。