…雪国の静かな夜だった。

体の芯まで冷えるような寒さについマフラーを口元まで上げた。

夕日がついさっき落ちたにも関わらず、この田舎町には街灯が明らかに少ないからか、すれ違う人も数えられるほどで。

ほとんど灯りもなく静まり返っている。

静かに夜に移り変わって行く町を底冷えする寒さに溜息をつきつつ家に向かって歩いていた。

(なんか、前もこんな感じのことあった気が…)

真っ白な夜道と暗く澄んだ空気になんだか既視感を抱いていた俺の頭にふと、いつか聞いた言葉がよぎった。

(ああ、きっとあいつだ。)

“見て見て!空すごいきれい!!”