「マドカって人が来たよ。透哉君と付き合ってるって」
「は?」
思わず眉間に皺が寄った。
付き合ってるって何だよ、俺とアイツとは何もねーだろ。
今すぐにでもアイツに会って話がしたいと俺の中で微かな怒りが込み上がっていた。
「だから会わないでほしいって」
「それっていつ?」
「多分8月の初旬くらい。たまたま出会った」
「つーか俺、付き合ってねーから」
「向こうは物凄く本気だったよ。だから、あたしと透哉君はそんなんじゃないって言った」
「……」
「もう会わないからって。付き合ってるとか知らなくて…なのにあたし…透哉君の事誘ってしまったから。だからなんか――…」
「だから俺、アイツと付き合ってねぇから。なに?アイツに申し訳ないとでも思った?俺に迷惑掛けてるとでも思った?」
「……」
「つーか、訳分かんねぇ事言われてる事のほうが迷惑。むしろ、ごめん…アイツにはちゃんと言っとくから」
「透哉君の事が相当好きなんだよ、あの子」
「……」
「あたしさ、透哉君と居たら凄く落ち着くんだよね。でも、会わない方がいいね、あたし達」
「なに?アイツ関係なくね?」
「うーん…って言うかお互いの為にも」
「は?意味分かんねーし」
「あたしの事で透哉君の事、傷つけたくないし」
「ますます意味分かんねーわ」
「だから会わない方がいい」
意味不明のまま結局その日は過ぎた。
芹奈先輩から″会わない方がいい″と言う言葉より、俺はマドカの発言が気に食わなく、アイツに対しての苛立ちの方が込み上げてた。



