〝もうすぐ辞めるんだ″


そう言ってた芹奈先輩の言葉が不意に頭を過る。

それと関係するんだろうか。


「お、噂をすれば晴馬先輩」


テツの声で前方に視線を送る。

花壇が並ぶ石段に晴馬先輩とその友達。あと何故か理実とその友達までもが居た。


「あー、やっと見つけたよ」


俺らに気付いた理実は大声を上げた。


「は?お前何してんの?」


普段見られない光景にオサムは不思議そうに見つめる。


「アンタ達、探してたの。じゃあ先輩達と出会って休憩中」

「俺ら探して何かあんの?」

「奢ってもらおうと思って」

「はぁ?…んでだよ、」


そんな会話を耳にしながら俺はその場を離れ自動販売機へと足を進める。

缶コーヒーを取り出し、その近くの石段に腰を下ろした。


「お前、芹奈となんかあった?」


座ってすぐそう声を掛けて来たのは晴馬先輩だった。

そして同じように俺の横に腰を下ろす。


「なんで?」

「この前までアイツお前の話よくしてきてたのに急に途切れた」

「ふーん…」

「しかも俺、今あいつのバイト先まで迎えに行ってんだけど」

「は?意味わかんねーんだけど」

「意味分かんねーのは俺の方。だけど何もいわねーよアイツ」

「……」

「ただ本当に迎えに行って家まで送るだけ。あと少しでいいからって」

「……」

「つか、なんで?」


晴馬先輩は首を傾げながらポケットからタバコを取り出し、そして咥えた。