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「つか、多すぎだろうが」


5教科3枚づつ。計15枚。

つか普通、停学中に出すんじゃねーの?

よりによって明後日の終業式にテストってのも意味分かんねーし。



その日の放課後。

教室に残ってプリントをするものの、周りの雑音が耳障りで、俺は鞄の中に一式詰め込み図書室へと向かった。


さすが図書室と言えばいいんだろうか。

数人居るのにも係わらず、全く人気は居ない静けさ。

俺には無関係っていいほど、滅多に来ない場所。


教室とは違って、エアコンの冷たい風が心地いい。

列になる本棚の横には一人用のソファーが何個もある。そして奥には長方形の机が二つある。


そこで俺の視線は一点に集中した。

近くまで足を進めると、机に突っ伏して寝ている芹奈先輩が居る。


鉛筆を持ったまま寝落ちするほど相当眠かったんだろうか。

長い茶色の髪は綺麗に巻かれ、そこから見える光ったピアス。

長い綺麗なまつ毛に透き通るほど綺麗な横顔に釘付けになったのは言うまでもない。


正直こんなまじかで見る先輩は初めてで、むしろ係わった事すらない。

と言うよりも周りが騒ぐ程、俺はこの人に興味がないだけだった。


それより気になったのは机にあるスケッチブックだった。

起こさないようにとそれを引っ張り手にする。


「すげっ、」


思わず口から漏れた言葉は絶賛とも言えるような呟きだった。


…デッサン。

そこに表れたのは絵か本物か見分けがつかない程の風景。

その見覚えがあるのは、きっとここの窓を開けた風景。


鉛筆だけで描かれたこの繊細な絵につい釘付けになってしまった。