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「…ごめん」


もうその言葉しか俺にはなかった。

ゆっくりとマドカの身体を離す。

俯いて鼻をすするマドカから視線を逸らし、俺は足を進めた。


後悔した。

今更そんな後悔しても仕方がないけど、マドカとそこまでの関係になってしまった事を後悔した。

確かに当時の俺は誰でも良かったのかも知れなかった。

付き合うという空間が面倒くさいと知り、楽な方向へと進んでた。


それが逆に、後悔することになってしまってた。

いや、そう感じるのも俺の中に芹奈先輩が居るからで。


特に興味もなかったのに、俺の近くに居る事で余計に意識し始めたんだと気づく。


だからと言って、マドカが言うように芹奈先輩は俺に興味はない。

そのどうしようもないもどかしい感情に苛々していた。


足を進める途中で思い出した修二の約束事が途轍もなく面倒くさいと感じた。

だけどヒロさんの頼みは何故か断れず、結局目の前までやって来てしまった。


「…おぅ、透哉。悪いな、来てもらって」

「いえ、」

「ちょっとそこに座ってて」


客を接客しながらソファーに指差すヒロさんに従って腰を下ろす。

そしてスマホを取り出し、特に意味もなく触る。

しばらくして「お待たせ」ヒロさんの声で立ち上がった。