「だったら先輩に言ってもいい?あたしと透哉はセフレだったんだよ――…」

「お前なぁ、」


遮ってまで言葉を出した俺はもう一度マドカの傍まで来た。と、その瞬間。

身体が動かなくなるほどマドカに抱きしめられた。


「好きなの。ずっと好きだった。今でも…」

「……」

「お願い、透哉。もう一度、抱いてよ…」

「……」

「じゃなきゃ好きが止まらない」


シクシクとすすり泣くマドカの声が俺の胸に蹲りながら聞こえてくる。

ギュッと抱きしめて来るマドカに対して俺はマドカを抱きしめる事なんて出来なかった。

脳裏にやきついてくる芹奈先輩の顔が何故か離れない。


俺に抱きついているのはマドカなのに、マドカとの今までの出来事なんか全く思い描かず。

今、俺の頭の中は芹奈先輩で埋め尽くされてた。


俺はやっぱり芹奈先輩が好きなんだろうか。


「マドカ、悪い。お前の気持ちに答える事は出来ない」

「そんなに好きなの?芹奈先輩が」

「……」

「芹奈先輩なんて、透哉に眼中ないよ。いくら透哉が頑張っても先輩は振り向いてくれない」

「……」

「透哉はあの人に何が出来るの?何もできないでしょ?」

「……」

「先輩が好きなのは物凄い大人な男性」

「……」

「ガキ扱いしてる高校生なんて相手にしないよ」

「……」


その言葉が自棄に俺の中では激しく刺さった。

お前に言われなくても分かってるよ。なんて思いながらも、何故か芹奈先輩を思い描いてしまう。