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結局その受け取ったプリントは数日間ずっと机の中にしまい込んだまま忘れ、案の定担任に説教をくらい破目になった。


「おー、透哉。説教くらったん?」


職委員室から出た瞬間、不意に聞こえたオサムの声に視線を向ける。

何が面白いのか知んねぇけど、オサムは笑みを漏らせた。


「テメーはドSか」

「ま、男なんで」

「怒られてる姿ばっか見て楽しんでんじゃねーよ」

「俺、イジメんの好きだわ」

「女にだろ」


そう呟いた瞬間、ゲラゲラと笑うもう一人の男の声。

オサムと一緒に連れらって来た修二は、「俺が女だったらぜってーお前、嫌だわ」と引き気味に笑いを誘う。


「つか俺もお前ムリだっつーの。つか、イチカがみんなでカラオケ誘ってきたけど透哉、お前も行くだろ?」

「あー、無理。プリントやらねーと」

「は?お前の口から勉強宣言かよ、マジ笑える」


オサムは馬鹿っぽく鼻で笑った。


「うるせーな。マジでやらねーと夏休みねーわ。夏休み中まで学校とかマジ勘弁」

「まぁな。けどお前なら余裕っしょ、意外に高学歴だしなー。んじゃ俺らだけで行くわ」

「あぁ、そうして―――…」



「あ、ごめんなさい」


言葉が途切れた所為は俺の腕にぶつかって来た女で、″大丈夫″なんて言う言葉さえ出せなかったのは冬月芹奈だったから。

曲がり角の一角。視線を向けると芹奈先輩は軽く会釈し、俺に背を向けた。