「はろー!透哉、久々ー。って、オサムもいんじゃん」

「俺が居たら悪いかよ」


バンっと勢いよく開いた扉から軽快な甲高い声が反響すると同時にオサムのため息交じりの声が呟かれる。


「おい、理実。勝手に入ってくんな」


俺は寝ころんだまま顔だけを向けると、理実は悪気もないようにペロッと舌を出した。


「だって、お姉さまが開けてくれたよ。透哉よりすごい気が利くよね」

「おー、それは俺も思う。俺なんかLINE無視されてんのに」

「わー、既読無視かよ」

「つかお前ら2人で話すんなら帰れ。俺、今から寝っから」


俺は2人から背ける様に背を向け、目を瞑る。


「は?お前、勉強すんじゃねーのかよ」

「えー、透哉が勉強?マジうけんだけど」

「だから今日、雨なんだよな、これが」

「マジかよー、透哉の所為かよ」



ギャハハと甲高い笑い声が耳に張り付く。

理実とは腐れ縁みたいなやつで、もう小学生のときからこんなノリ。

高校は別だけど、こんな風にたまに突然家に来る。


むしろ俺に会うんじゃなくて、お袋に会いに来て話してる感じで。

お袋が居なければ俺にも会わずに帰るのに。って事は。


「なー、理実。何しに来た」


背を向け、目を瞑ったまま俺は小さく声を掛ける。