「あのな時と場合ってもんがあって、その時に遭遇しなきゃ分かんねーんだわ」
「で、そん時の本命はどうした?」
「家に来てバレて別れた」
「家!?お前、自分ちでヤッてたのかよ。馬鹿じゃねーの?」
「修二にもこっぴどく言われたっつーか、爆笑され、今では面白いネタとして使われてる」
「ま、そりゃそーなるわ」
「まーあれだな、お前の言う通り女作らず遊んだほうが楽だな。揉め事もなんもねーし」
「で。他に何かあんじゃねーのかよ。たかがそんな用事で来ねーだろ。カラオケ途中じゃねーのかよ」
部屋に入って来た時に一緒にもってきたコーラの缶のプルタブを開ける。
乾いた喉に流し込むと、「そうそう。見ろよ、これ」そう言ってスマホを操作して、ほれ。と言った感じに俺に画面を向けてきた。
そこには女2人が画面に映し出されている。
地味でもなければ派手でもない女が、カメラ目線でピースをしている。
「無理」
何かを言われる前に速攻、拒否る。
絶対にこのパターンは会いたいだとか言ってる女に違いない。
「は?何も言ってねーじゃん、俺」
「どーせ会わせろとかじゃねーの?」
「そう。良くわかったな」
「もう、お前のそのパターン読めるわ」
「さっすが、透哉君。で、どうする?」
「いや、だからさっき無理っつっただろ」
「理由は」
「興味ねーから」
「なんかあれだねー…お前最近ノリ悪くねーか?前まではホイホイ来てたのに」
「それはお前がしつこいからだろーが。悪いけど、女居るからって断っといて」
「もう居ないって言ったし」
「だから、それが余計なんだっつーの。も、もうオサム帰れ。俺、勉強すっから」
シッシッと手で追い払う様にオサムを追い返す。
オサムは腑に落ちないように白い目を向けた。



