「関係なくなんかないよ。だって透哉の事、好きだから。今までは迷惑かけてきたかも知れないけど、これからは――…」

「悪い、マジで。さっきも言ったけど俺、小百合とは付き合えない」


先に足を進めたのは俺だった。

振り返る事もなく、ただ俺は足を進ませた。


時折感じる周りの視線が居心地を悪くする。

あんな公の場で話す会話じゃなかったと、今更ながらに思った。


電車に乗り込み出入り口にもたれ掛かりスマホを取り出す。

一件のLINEに俺は指を動かした。


<小百合と出会った?お前の事、探してたから。あ、ちなみに彼女居んのか聞いてきたから、いねーっつっといたから>


「はぁ?」


思わず声を出した所為か、座ってる人たちの視線が俺に降り注ぐ。

そして俺が見つめ返した所為で、何もなかったかのようにと視線を背ける人たちにため息を吐いた。


付き合ってるの?と小百合に言われた言葉に関係ないと言った言葉はもはや水の泡で。

むしろオサムに聞いたにも係わらず、どうしてそれをまた俺に聞いたんだと思った。


要するに何ていうか試したってやつか…


〈余計な事すんな〉


送ったLINEはすぐに既読になり、〈なんで?〉そのオサムの返事に俺は返信すらしなかった。