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案の定、俺が反射的に振り向いた所為で芹奈先輩も同じく視線を向けた。

は?と心の中で呟いたのと同時に芹奈先輩の腕が俺から避ける様にと離れていく。


「じゃ、ここで。ありがとう」


戸惑った表情で笑みを浮かべる芹奈先輩は俺の傘の中から離れていく。


「あ、傘」

「大丈夫。ありがとう」


そう言って小雨の中、小走りの様に目の前の駅に向かって行く。

その瞬間、さっき俺の名前を呼んだ小百合が芹奈先輩をジッと目で追いかけてるその姿に、何故か物凄く深いため息を吐き捨ててしまった。


つか何でお前が居る。

いつ会える?と言う小百合のLINEを返さずにいたのは俺で。

だけど、何故今、こいつがここに居るのかは不明である。


むしろ俺にとったらタイミング悪すぎ。

別に芹奈先輩ともっと居たかった訳じゃない。

だけどあのタイミングで出来ればお前とは会いたくなかったってのが事実。


「透哉っ、」


ピンクの傘を差してる小百合が何故か俺の目の前に居る。


「なんで居んの?」

「話したいことがあるってLINEに入れてたでしょ?」

「……」

「だから来た。透哉、返事くれないから」

「それってそんな急用?」

「あたしにとったら。だからオサムに聞いたらまだ学校って言ったから。だから待ってたの」


はぁ!?とでも大声を出したい気分だった。

オサムの奴、余計な事言うなっつーの。

どうせ、アイツの事だろーから面白がって言ったに違いない。