「芹奈ちゃーん…」
「お互い様じゃない?」
なんてに苦笑いになる芹奈と萌ちゃんを置いて、俺は駆け足で晴馬先輩に追いつき鞄で背中を叩いた。
「――ってーな、」
「お前、いじめんの好きだな」
「いや、俺はもっと虐める方が好きだけど。虐めて泣かせる顔が好き」
「はぁ!?どんだけドSだよ」
「ま、萌にはハードル高いか」
「つか、なんでお前が女ったらしなのか聞かれたけど」
「女ったらしねぇ…そう見せかけてるだけだっての」
″アイツが俺に振り向かねーからだろ″
ポツリと付け加えられた言葉が、晴馬先輩には珍しく気弱な感じで。
相当、萌ちゃんにのめり込んでるらしい。
だけど萌ちゃんの言葉が物凄く納得してしまったのが、その昼休みだった。
「相変わらず、晴馬先輩の近くっていつも女いね?」
渡り廊下から身を乗り出したオサムは中庭に向かってそう声を吐き出す。
同じように視線を送ると、晴馬先輩の腕にガッツリ女が絡まっている。
「女が切れねーっつーのがすげぇわ」
クスクス笑う修二はペットボトルのコーラを口に含んだ。
「俺も先輩に教えてもらおうかな」
「は?何を?」
「女を落とすテク」
「はぁ?あの人にそんなもんねぇだろ」
「確かに。いいよなー先輩と言い透哉と言い」
「は?なんでそこで俺がでんだよ、」
思わずオサムの言葉に俺は顔を顰めて言葉を吐き出す。



