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さっきの言葉が自棄に引っかかった。

芹奈先輩の忘れたい事って、あの男なんだろうか。

消し去る様に黒く塗りつぶされていた人物の人なんだろうか。

勝手に見てしまった所為で、自棄に気になる。


ま、あの人はきっと芹奈先輩の好きな人だったんだろうと。

関係ねーけど、何故か泣いてた理由が気になりだした。


「あ、ねぇねぇ、飴あげる。どれがいい?」


手の平に数個の飴が乗っている。

俺、飴っつーガラじゃねーだろ。なんて思いながら、俺は数個あるうちのコーラを手に取った。


「どーも」

「あ、やっぱり!コーラって感じだもんね」

「え、俺?」

「うん。コーラっぽい」

「何だそれ」


マジ、コーラっぽいって何だよ、それ。

思わずフッと鼻で笑って口に含むと芹奈先輩はレモンを口に含んだ。

飴なんか久々食うわ。普段食わねーし。


「雨、いつ止むかな…」

「さぁ…」


閉まった窓を見つめる芹奈先輩に俺は窓を開けた瞬間、


「「あ、虹」」


ほぼ同時に被ったその声に、俺はフッと口角を緩めた。


「あはは。また被ったね」

「うん。さっきより小雨になったし帰れんじゃね?」

「そだねー…帰ろっかな」


スケッチブックを鞄に仕舞う芹奈先輩を見て、俺もプリントを無造作に突っ込む。