「その後から、萌先輩学校来なくなって」
「え、マジ?」
「あぁ。んで、理由が芹奈先輩も来ないし、なにしろ高木が居るから行きたくないって言いだして」
「あ、あー…なるほどな」
「え、なにが?」
「いや、」
だから晴馬先輩はアイツを辞めさせたんだと分かった。
芹奈先輩の事もあるけれど、それ以上に萌先輩が原因だった事に、俺は晴馬先輩らしいと思ってしまった。
「んで、アイツも来てねぇから会いに行ったみたい」
「へー…」
「まじあの後から大変だったんだからな。すげぇお前の事で大騒ぎになるし。むしろ殴って血まみれとか話がすげぇぶっ飛んでよ、」
「……」
「お前の事、ますます近づきにくい怖い男になってっぞ」
「ふーん…」
「オサムと苦労したんだからな」
「悪かった」
「ま、でもあれだな。お前来たらもっと凄くなんのかと思ったけど、みんなお前にビビって何も言わねーわ」
クスクス笑う修二はタバコの灰を落としながらそこに視線を向ける。
「言われてねーけど目が言いたそうにしてる」
「見んなよって、胸倉つかんどきゃいいんじゃね?」
「は?もう揉め事おこしたくねーんだけど」
「後悔してんの?」
「いや、後悔なんか何もしてねーよ」
「そう。ならいいんじゃね?」
「あぁ」
後悔なんかするわけがない。
もっと言えるのならば、あと何回か殴ってやりたかったのに。
それは今でも、物凄く思う。



