「珍しーな、お前が学校で吸うって。自棄吸い?」
「そうかも。出来るだけ吸わねぇようにしてたけど、あの日から自棄に吸う」
「ふーん…」
「でも先輩の前じゃ吸えねぇんだよな」
「は?なにいい男ぶってんだよ」
修二はフッと馬鹿にした様に鼻で笑い同じようにタバコを咥えた。
「つかアイツらと居たら、つい手が出る」
「それは分かる。ここ数日、晴馬先輩と居たけどよ、それだけで吸いたくなんだよ」
「晴馬先輩なぁ…つかオサムから聞いたけど、あの男辞めさせたのってマジ?」
「あー…高木だろ」
「つか名前も聞きたくねぇわ」
「お前はそうだろうな。派手にやらかして、何針縫ったわけ?」
「さぁー…分かんね」
タバコを咥えたまま、右手の甲と腕に視線を送る。
無数の傷がようやく落ち着き、見た目の痛々しさは少なるなっている。
「あの後マジ大変だったんだからな。誰だっけ、あの女の先輩。えー…あのすげえ可愛い顔の」
「あー…萌先輩?」
「そーそー。もう芹奈先輩の事ですげぇ泣きじゃくってよ、晴馬先輩宥めてたけどそれでも落ち着かなくて」
「うーん…なんか分かるわ」
想像しただけで分かる。
あの萌先輩の事だから相当だったんだろう。
そんな先輩を宥める晴馬先輩もなんとなく分かる気がした。



