「今から帰る?」
「帰らないよ。行くよ。麻友も萌も待ってる」
「じゃ行こ」
「うん」
足を進める俺達にチラホラ視線が向かっているのが分かっていた。
その事の発端が俺であって、その所為で芹奈先輩を余計に困らせた。
あれからの情報は、高木と言う男は学校を辞めたと晴馬先輩が言っていた。
むしろオサム達からの情報では晴馬先輩が辞めさせた。と言っていた。
マジであの人、何者?
でもこの事は芹奈先輩は知らなくて、むしろその事を芹奈先輩は気にしてる。
こいつの名前すら口にしたくない。
あいつの顔を再び思い出したくもない。
でも。
「…先輩?」
「うん?」
「心配すんなって。アイツはもう居ない」
「え?」
「もう居ねーよ。だから心配すんなって」
「……」
「帰り、終わったら待ってる」
「うん」
丁度、階段で別れ教室に向かう。
案の定、色んな視線が俺に向かって来るのが分かる。
見んなっつーの。
「まじ、だるっ、」
思わず吐き出してしまったため息交じりの言葉。
2度目の停学をくらってしまった所為か自棄に前よりも視線が飛び交ってくるのが痛いほど分かった。



