「やっぱしてないじゃん」
ドアが開いた瞬間、芹奈先輩は頬を膨らませた。
ジャレ合う俺からプリンを離し、机にプリントを置く。
「なんかセンコーかよ」
「やらないと間に合わないよ?」
「じゃ教えてよ」
「教えるも何も透哉君、頭いいじゃん。ね、早く」
何をそんなに急かせてんのか訳分かんねーし。
ため息をつきながらとりあえずペンを持って埋めていく。
この前よりはるかに多いプリントは大量にある。
むしろこんなプリントしても意味がない。
どれくらい時間が経ったのかも分かんなかった。
芹奈先輩は優雅に俺の隣でプリンとジャレ合っている。
その姿をボンヤリ見ながら俺は口を開いた。
「なぁ先輩?」
「うん?なに?」
プリンと頬を寄せ合っていた先輩は微笑みながら俺に視線を向けて来る。
「ちょっと充電させて?」
「充電?なんの?」
「ここの」
言いながら俺は先輩に近づき人差し指で先輩の唇をなぞると「…え?」と小さく漏れる声。
「じゃねーと疲れたからもう出来ねーし」
「お、終わったらね…」
なんて戸惑って言う先輩に俺は口角を上げた。
「終わったらって、まだあんのに今日中に終わんねーわ」
「……」
「なぁプリン。お前ちょっと邪魔だわ」
ヒョイと抱えプリンを先輩から遠ざけ、俺の後ろに隠す。
「え、透哉君?」
更に戸惑ってる先輩を押し倒す様に見つめた。



