「あー…それな、」
見ただけでもうんざりする。
まだ何も手につけてないプリントが何枚もある。
「今日はこれをしよう」
「は?」
停学中のプリントだと分かったんだろうか。
芹奈先輩は何枚も取り出してペラペラと捲っていく。
「これ、しないとダメだよ」
「面倒くせーよ」
「ダメだよ。ちゃんとしないと本当に退学になっちゃう」
「なーんか俺、心配されてる?」
呆れ越えを出す俺は芹奈先輩の前にしゃがみ込んだ。
「してる。明後日から学校でしょ?」
「だな」
「間に合わないよ、早くしないと」
「てか何で学校の心配されてんの?俺が…」
「だって、」
「だって何?俺の方が先輩の事心配してる」
「……」
「いいよ。やってやっても。その代り交換条件」
「交換条件?」
「プリントしたら一緒に明後日から行こ?それが嫌ならやらねーわ」
ちょっと意地悪だったのかも知れねぇ。
でも俺はこのまま芹奈先輩を辞めさせたくない。
むしろ芹奈先輩が行かないのであれば、俺も辞めようと思った。
ただ、そう思うのも一緒に居たいだけ。
「…分かったよ」
少し間をおいて芹奈先輩はため息交じりに呟いた。



