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「…透哉君?」


抱きしめたままいつの間にか朝を迎えてた。

芹奈先輩の声で目を覚ますと、「おはよ。スマホ鳴ってる」そう言って隣で眠っていた芹奈先輩はテーブルに指差した。


「あ、あぁ…」


身体を起し、腕を伸ばす。

テーブルにあったスマホを掴み、冴えない目で画面を見た。


「わ、晴馬先輩…」

「え、晴馬?なに?」

「さぁ…」


身体を完全に起こし俺はスマホを耳に当てる。


「はい」

「はよ。お前さぁ芹奈と一緒にいる?」

「なんで?」

「萌の奴がさー…芹奈に電話しても繋がんないし家行っても居ないから捜索願出すっつってよ、」

「えっ!?捜索願?」


いっきに眠かった頭が冴える。

俺の声にすぐさま反応を見せたのは、もちろん芹奈先輩でその表情が少しだけ焦ってたのが分かった。

そして俺は芹奈先輩に近づき会話を聞こえる様にする。


「アイツ大げさすぎでマジうけね?」


だけど晴馬先輩は面白がってケラケラ笑ってた。


「今、一緒に居る」

「ほらー、おい萌。だから言っただろ、透哉と一緒に居んじゃね?って言っただろ。なんでお前は俺の事信用しねーんだよ」

「だって晴馬君、嘘っぽいもん」

「はぁ?」

「顔からにじみ出てる」

「あぁん?なんだとお前。そのうるせー口、俺の唇で塞ぐぞ」

「ほら!!すぐそんな事言うでしょ?あたしの事、馬鹿にしてるでしょ?」

「お前さ、こんな俺の事避けるのってお前ぐらいだぞ」

「はい?晴馬君。なんでそんな俺様なの?そもそもあたしは芹奈ちゃんの事が心配で――…」


2人の会話がスマホから漏れて来る。

もはや、もう俺との会話なんてどうでも良くなってて…

むしろ繋がってる事すら忘れてるだろう。