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「…先輩、学校は?」


あれからの情報なんて全くない。

学校が騒ぎ立てられている事、以外、何も聞いてはいない。


オサムたちは俺に気を使ってんのか知んねぇけど芹奈先輩の事は一切口を開いてこなかった。

だから俺も何故か聞けずにいた。

先輩の家に行こうと試してみたが、あれから何故か行けなかった。


「…もう、行けない」


微かに物凄く小さな声が震えて聞こえる。


「ごめん。俺が事を荒げたから…」

「ううん。違う。透哉君の所為じゃない」


あれから晴馬先輩が言ってた。

あれ以降、高木は来ていないと。


だけど、事を荒げたのは俺で、学校中が騒ぎ立ててる事をしたのは俺で。

そう思うと、芹奈先輩が行きずらいのも分かる。

だからってあの日、起こした事は俺は何も後悔などしていない。


「…マジで辞めるのかよ」

「そうしたい」

「じゃー…俺も辞めようかな」

「…え?」


ゆっくりと上がった芹奈先輩の顔。

その瞳が潤んで、少し赤みを増す。

そして再び口が開いた。


「なんで透哉君も辞めるの?ダメだよ、ちゃんと卒業しなよ」

「って言うか何でそんな事、先輩に決められなきゃいけねぇの?」

「だって…」

「芹奈先輩いねぇとつまんねぇし」

「……」

「じゃ、先輩もダブれば?一緒の学年になる?」

「……」

「俺は芹奈先輩と一緒に居たい」


頭よりも先に身体が向かってた。

芹奈先輩の身体を抱え込むように抱きしめる。

会うと何故か手放したくなくなる。