司とチームを組むことになり、終業時間まで慌ただしく過ごした。


 周囲からは羨望と嫉妬の眼差しの嵐と、質問の応酬。


 今日は正直疲れ果てている。
 

 終業時間までの間、今まで新人を透明人間のように扱っていた先輩たちが、ひっきりなしに美桜の元へやってきた。

 そしてSNSのアカウントを聞いたり、デスクの上にはいつの間にか名刺の山が出来ていた。
 

 それだけ司は注目の的であり、誰もが関わりたいと願っているということだ。
 

 皆が口々に「うらやましい」と連発しているのを聞くと、彼はいわば高嶺の花なのだろう。
 
 一緒に仕事をしたいと願っても、そうそう彼のお眼鏡にはかなわない。
 

 その影響力に美桜は一日中驚いていた。



「司さんのすごさを知らないところが良かったのかもね」

 志保は一人納得し、ワインを煽る。

 そんな志保も、夕方に無事にパートナーが決まったらしい。


 そのお祝いにと志保に誘われ、就業後、会社近くのダイニングバーへやってきた。