「浦部~、ちょっと明良呼んできて」
私は浦部に命令した。浦部は、
「かしこまりました」
とだけ言って、明良を探しに行った。
私は、春野菜津。春野グループ社長、つまりうちのパパの子。つまり、正真正銘のお嬢様なんです!…なーんてね。普通よりも、ちょっと贅沢出来る程度よ。
1番楽な、3人兄妹の真ん中というポジション。兄は頑固な明良、弟はちょっと抜けてるところがある真面目な斗馬。
私は、というと。結構しっかりしてる感じの女子。言いたいことはズバッというし、好き嫌いが分かれるタイプ。すると、
「お待たせ致しました。明良さまを連れてまいりました」
と言って、浦部が帰ってきた。あ、浦部はうちの執事の1人。もう1人いるけど、今は父さんと話しているようだった。
「菜津、なにか用か」
明良は私の座っている横にゆっくり腰をかける。
「高校って、どんなとこ??」
私は明良に尋ねた。そうだ、私は来年、華の高校生。青春して~、成績優秀で美人ってウワサが出て、モデルデビューしたりして!?なんて妄想ばかりしている。モデルデビューは、高2かな。なんてね。
だから、本当の高校がどんなところか、現役高校生の明良に聞こうと思い、呼んだのだった。
「うーん。勉強は難しいし、成績は貼り出される…かな」
と返された。
「えー、そんなの知ってるし。もうちょっと、なんかないの?」
私は食い入るように聞く。
「うーん…あっ。購買あるわ」
明良のその呟きを、私は逃さなかった。
「あ、そっか!高校だから、購買あるんだ」
私は納得する。そういえば、よくマンガにはあるな、購買って。と思う。
「あとは、部活も増えるかな。あ、電車通学になるかも知れないしさ」
明良は話し続ける。華の高校生。
私には、不安なんてこれっぽっちもなかった。