弱虫リフレクション【短編】



「南都!」


──さあ、今だ。

鋭い刃は手放して、弱虫(だいきらい)な自分とお別れの時。



「そうだよ、俺が好きなのはお前だよ。……文句あっか」



その瞬間、鼓動はどんどん加速して。

このまま心臓が爆発しちまうかと思った。

けれど──。


「ないよ」

「……っ」

「私も、鬼塚くんが好きだから……」


再び輝いたその笑顔に、何もかもが吹っ飛んだ。


「なあ南都」

「はい」


今ならきっと、素直になって言えるはず。



「……浴衣、すっげぇかわいいよ」




-END-