アイリスの願い




「お父さん?どうしたの?」


私はお父さんを見てそう言う。するとお父さんはゆっくり口を開いた。



「いや、去年のクリスマスを思い出していたんだ」


「クリスマス?なんで?まだ10月だよ?」



私がそう聞くとお父さんはまた笑って私を見た。



「クリスマスの時この木がツリーになってただろ?その事を思い出していたんだよ」


「あー……」



去年の12月25日。金曜日だった私はここで歌っていた。

歌うことにクリスマスなんて関係ないと思っていたし、一緒にクリスマスを過ごす彼氏なんていなかったし、ちょっとあの時は周りの目が痛かったけど私はここで歌っていた。


そしていつも通り18時半に来たお父さんと帰ろうとしていたらお父さんがまたふと視線を上げたんだ。


不思議になって一緒になって視線を上げたらそこにはキラキラと輝くツリーの木があった。


歌ってる最中はそんなこと気にしてなかったからびっくりしたのを覚えている。


そして、お父さんが私を見て言ったんだ。



「ナツミ、メリークリスマス」



──と。私の大好きな笑顔で笑いながら。