「我が国の兵士の配置、そして——砦の守りがどうなっているのか。ジゼルの手を借りて調べました。これは役に立ちませんか」
どこにどのくらい兵士がいるのか、攻めやすいのはどこか、守りが厚いのはどこか。
武器庫に食糧庫——そして、王族が身を潜めている場所まで。これだけの情報があれば、この膠着状態を打ち破ることができるはずだ。
「先ほど、自分の親兄弟を殺す様にと俺に言ったが、これだけの情報を持ってきてくれたのならばそれも可能だな」
まだ、まだもう一つ願いがある。国を、早く平常状態に戻すには、これから先も頼まなければならない。
「——お願いは、それだけではありません。私と結婚してください」
「王家を売って自分一人生き残るつもりか!」
真っ先に憤怒の声を上げたのはノエルだった。室内にいる男達は口々にディアヌに向かって呪詛の言葉を吐き出した。
一族を売り、自分一人生き残りを図る。しかも一族の者を売って——などというのは、彼らからすれば信じられない行為だろう。
「ノエルと言いましたか。ルディガー陛下が国を平定するのにどのくらいかかると思います?」
「——二年。それでも長いくらいだ」
二年——それだけあれば、なんとかなるというのか。ならば、二年だけ——ルディガーの側にいられるのは二年だけ。
でも、それで十分だった。それ以上なんて望まない。
「わが国には女でも王位継承権があります。一族を滅ぼせば、王位を継承するのは私だけ。私とルディガー陛下が結婚すれば、王位の正式な継承権を譲ることができます。形式さえ整えてしまえば、国内の貴族達の反発はある程度抑えることができましょう——」
ディアヌの提案に、男達が息をのむのがわかった。



