「おじゃましまーす」 初めて乗る隼くんの車。 ツーシーターの小さな車で、わたしみたいにぬいぐるみやアクセサリーがついてないシンプルな車内。 意外にも隼くんと距離が近くてドキドキする。 「ごめんねー狭くて……」 「ううん。でも、こういう車、初めて乗ったよ」 「どうしよう? どっか行きたいとこある?」 「うーん、特には……」 本当は隼くんと行きたいところは山ほどある。 でも、今日はそんな贅沢言わない。 だって、隼くんといられるんだもん。 それだったらどこでもいい。