「バレンタインデーじゃなくて、愛花の誕生日じゃん。好きになってよ」 「そう簡単にはいかないの!」 「なあ、せっかく両想いになったんだし。デートしない?」 「は? なに、恥ずかしいこと言ってんの!?」 「いいから。手、繋いで行こう」 勝手に手を握られて、ちょうどきた電車に乗り込む。 ああ、やっぱり心を掻き乱される。 ドキドキして落ち着かない。 「これから、よろしく。愛花」 「……こちら、こそ」 普通じゃいられないから、 バレンタインデーは嫌い。