お前の唇、奪っていい?



舞side



啓くんが私を連れてきたのは、私たちが通っていた小学校だった




「うわぁ、懐かしい。随分来てなかったなぁ」


「なんか遊具とか、今見ると小さいね」


「そうだね、私たちが大きくなった証拠だね」




幸いにも私たちの事を知っている先生がいたから、校内を見学させて貰えることになった


校庭を見たり、教室の中に入ったり




「あ!4年2組!わぁ、全然変わってない!」


「懐かしい匂いがする。...僕ここの席だった」


「私ここ!偶然にも啓くんの隣だったよね」




小学校は高校と違って隣同士の机がくっついている


しかも椅子も机も少し小さいから、私たちの肩がくっついてしまった


やっぱり、私たち大きくなったなぁ...


あの時は早く大人になりたかったけど、今こうしていると、
あの頃からあっという間に時間が過ぎたなって思う




「狭いね」


「だね。...ねぇ舞ちゃん、びっくりするようなこと、言ってもいい?」


「なに?」


「田中 雄大っていたじゃん?そいつね、今心ちゃんと付き合ってるんだよ」


「えぇ!あのうるさい田中とめっちゃ可愛い心ちゃんが!?意外!
てかなんで啓くんが知ってるの!」


「はは、驚きすぎ。あいつらのSNSフォローしてないの?イライラするくらいラブラブだよ、あいつら」


「そうなんだ...すごい組み合わせだね。でもいいなぁ、青春してるって感じ」




今頃みんな、恋をして、誰かと付き合ったりしてるのかな...


私は、よくわかんない

好きとか、付き合いたいとか、どんな気持ちがそれなのか、分からない




「.....もうひとつ、教えてあげよっか?」


「まだ知ってるの?教えて!」


「あのね」




啓くんが自分の口元に手を当てる


そこに私は耳を近づけた




「実は僕、舞ちゃんが好きなんだ」