お前の唇、奪っていい?



カフェに着くと、既に時計は11時30分を回っていた




サンドウィッチとアイスティーを頼み、席に着く




祐誠、いつ終わるのかなぁ...




その頃、祐誠はーー




「失礼します」


「待ってたよ、竹下くん。急にごめんね」


「いえ、全然。.....っは...?」


「やっほー、こんにちは、祐誠くん」




コツコツ、とピンヒールを鳴らして俺の後に部屋に入ってきたのは、
紛れもなくあのコンビニ店員だった




確か舞が奥村さんって言ってたっけ




なんでこいつが...!?




俺が驚きで目を見開いていると、そんな事はお構い無しに奥村さんは社長の横に腰を下ろした




「驚かせてしまってごめんなさい。実はあたし、社長の、おじ様の孫なんです」


「ま、ご...?」


「驚くのも無理ないですよね、社長の孫がコンビニ店員とか、笑えますし」




ふふ、と右手を口に添えて笑う彼女を見ていると、ふと社長が奥村さんの肩に手を置いた




「覚えてるかな、君とは1度だけ一緒に撮影した事があるんだ」


「あ、はい、聞きました」


「おじ様、竹下くんったら忘れてたんですよ。ふふ、でもまたこうしてお話出来て嬉しいです。
コンビニでは少ししか話せなかったから」


「は、はあ...そうですか...」




この人...猫かぶり過ぎじゃね?


ってか、何で今日俺のこと呼んだんだよ...




俺は舞のおじさんの墓参り行かなきゃなんねぇのに




「まぁ無駄話はやめようか。早速だけど竹下くん、菜々子と結婚してくれないか?」




.......




は?