お前の唇、奪っていい?



「なんか、ごめん」


「いーよ」




祐誠の提案で、急遽休憩を取らせてもらうことになった




やっぱり素人の私じゃ、撮影なんか無理だよ...




「お前さ、撮影の時何考えてんの」


「え...そ、そりゃあ私で務まるかなぁとか、迷惑かけないようにしなきゃ、とかだよ」


「はぁ。どうりでいい写真が撮れないわけだ」


「え?」




祐誠は大きく溜息をつき、テーブルに置かれたミネラルウォーターに口をつける




そして、とんでもないことを言い放った




「お前は、俺の事だけ考えてればいーの、分かる?」


「...は?」




な、何言ってるのこの人!?




「迷惑とか、考える必要ないから。
お前は、どうすれば俺のイケてる写真が撮れるかを考えてればいい」




...。




なんだよ!!
"俺のことだけ"って、そういう事かい!




結局は、自分が一番なわけね、祐誠は...

まぁでも、こんなに自分に自信を持ってるからこそ、
モデルなんていう仕事が務まるのかも




「ふはっ...もうおっかしー、
でもそうだね、このネックレスが主役だけど、祐誠の中では祐誠が主役なんだよね」



色々腑に落ちないけど、
でもなんか、少しだけ元気出てきた!




「そういうこと。分かったらさっさとメイク直してもらいに行ってこい」


「うん、ありがと祐誠」




ーそして、私がメイク室へ向かったそのすぐ後




「竹下くんも、素直になればいいのに」


「いいんですよ。今はこれで」




祐誠の瞳は、悲しみで溢れていた




その理由を私が知ることになるのは、まだ少し先のお話