駅から出ると、人通りの多い商店街が見える。
商店街を下っていく途中、違う制服の高校生とすれ違う。


スカートが短い女子や、広がって歩くグループ。
普通科の、恐らく帰宅部だ。


右に曲がると校門が見える。さっきの生徒たちが通う学校だ。
流石にこの中には入れないか。


僕は近くにある細い道に入った。
この細い道は小学生も使う。このまま真っ直ぐ進めば小学校があるのだ。
高い声で笑う小学生が、ランドセルをがさがさ揺らしながら走る。給食袋がぶつかりそうになった。


僕もあんなころがあったのか。
いや、僕はどちらかというとおとなしい方だった。重いランドセルに背中を叩かれるのが嫌だったから、走ることもない。


また右に曲がる。
高校の人気のない部分が見える。女子が先生の陰口を叩いていた。


もうこの時点で、あの音が聞こえていた。


他の生徒や小学生も聴いている。


軽音楽部の演奏だ。
五人編成のバンドは順調に演奏していた。


あの記憶がよみがえる。


自分から来たのに手で耳を塞ぐ。
この道から早く抜け出したい。この音が聞こえないところまで逃げたい。


小学生を避け、道を駆け抜ける。
僕が進んだ方向にはマンションが建ち並んでいた。