「ははっ。
まさか佐藤さんからそんなこと言われると思わなかったな

俺もちょっと構えすぎてたかもしんない」
切なそうに笑う蓮さん。


「構えすぎてた?」
言ってることがよく分からず、蓮さんに問う。



「櫻乃さんと対等になりたくてさ」

「対等ですか?」

「そう。
親の七光りで金持ってるやつから迫られても魅力感じないでしょ?」

「は、はあ」

「俺の中で決めてたんだ。
対等になったら遠慮せずに櫻乃さんに見てもらおうと思って」

「でも華はもう、貝塚くんと…」

「そうだね。
でもきっと大丈夫

人間って本気になれば手に入らないものって無いと思うから

もう遠慮することもなくなったしこれからは本気で見てもらうことにするよありがとうね佐藤さん」


人間どんなに頑張っても手に入らないものだってあると思う。

でも蓮さんが言うと不思議と蓮さんが言った通りのように物事が動くような気がする。


帰ってゆく蓮さんの背中を見ながらそんなことを思った。


ねえ…蓮さん。

私も本気になれば欲しいもの手に入りますか?