「お願い…?」
「うん…華のことハグさせて?」
そう言うや否や、あたしの腕を引っ張り貝塚くんはあたしを抱き寄せた。
ドクン…ドクン。
貝塚くんの早い鼓動があたしにも聞こえる。
今まで肌を合わせたこともあるけどこんなに貝塚くんの鼓動を感じ取ったのは初めてだった。
「今日華浴衣着てるじゃん?」
「え、…うん」
「あぁ、もう華は白百合先輩の物なんだって思って…」
へ!?
浴衣着てただけで?
「鎖骨下」
「鎖骨下?」
「それ、白百合先輩が付けたんだろ?
華、愛されてるよな」
あ〜、あぁ。
チュパカブラね。
「俺の入る隙間なんて無いなと思ってさ。はは。華と会わない時もずっと華のこと考えててさ…」
なんでだろ。
付き合ってる時はこんなこと思ったことなかったのに…。
今の貝塚くんは儚げで壊れそう。
「最初から白百合先輩に勝てるなんて思ってなかった。
俺、分かってたんだよ…。」
貝塚くんは蓮があたしを愛してるみたいな言い方してるけど、あいつあたしのことなんてこれっぽっちも想ってないからね。
実際好きじゃないとか言われたし。
「でもやっぱ…」
貝塚くんは抱き寄せていたあたしを離し、目を合わせる。
「俺、華に振られたかもしれないけどもうしばらく頑張ることにするわ」
………は?………。
