今日はさすがにシャワーを浴びて、軽くメイクを直してからジムを出た。

「今日もご飯どう?」と誘ってくれた隆弘に「もちろん」と返事をすると「ファミレスばかりじゃ色気ないから」とお店の名前と地図をもらった。

 それが更衣室に入る前。
 シャワーとメイクを直していたから待たせているかも。

 急いで地図の場所に行くと近くのコンビニから出てきた隆弘に声をかけられた。

「朋花ちゃん。」

 待ったはずなのに笑顔が変わらなくて逆に申し訳ない。
 大学の頃はよく遅れたせいで不機嫌にさせて。

「ごめんね。待たせたよね?」

「ううん。大丈夫。
 女の子の方が支度があるもんね。」

 隆弘と一緒にお店に入ると、雰囲気のいい隠れ家みたいなレストランだった。

「お酒、飲むんだっけ?
 俺、職業柄、あんまり飲まないようにしてるんだ。
 泥酔して何かやらかしたら事だから。」

 真面目だなぁ。隆弘は。
 元々そんなに飲まない人だったしね。

 だから朋花も合わせるように「私もいいや」とソフトドリンクを選んだ。

「隆弘ってスイーツ好き?」

 って知ってるんだけどね。
 見かけによらずスイーツ好きだってこと。

「うん。好き好き。
 朋花ちゃんも好きそうだよね。」

「う、ん。それでさ。
 会社の後輩の子が美味しいって教えてくれたお店があってね。」

 本当は甘いものあんまり好きじゃない。
 どちらかと言えば激辛好き。
 甘いものは嫌いってほどでもないけど食べると太るし。

 でもさ。
 甘いもの好きって女の子って感じがして。
 大学の頃にも最後までスイーツあんまり…とは言えなかったなぁ。

「じゃ今度、一緒に行ってくれない?
 男だけだとそういう店って入りづらくて。」

 そうだったよね。そういうところを気にするところがなんだか可愛いんだなぁ。
 大学の頃は可愛いとは思わなかったんだよね。不思議と。

 食事は美味しくて、学生の頃はこんなところに行けなかったなぁ。と懐かしい。

 やっぱり大学の頃を思い出してしまう。
 それを一緒に懐かしめたらいいのになぁ。って。

 だけど…分かってる。
 思い出されたら困るんだってこと。