とりあえず面倒くさいので、亮介のくだらない想像は無視することにする。 「なんでキスなんかしたの?」 机からスコアブックを出して開く。 この春に卒業した先輩たちの引退試合のスコアだ。 ホームランの印がふたつ。私が付けた。 亮介もスコアブックを覗き込みながら質問にそっけなく答えた。 「したかったから」 思いもよらない答えに、言葉が出ず亮介の顔をただ眺める。 ちょっとすねたような顔。 親はいったいどんな教育したんだ? 半ばため息まじりに再びスコアに目を落とす。