見知らぬイケメンは、あたしの返事を待たずに、続けて話す。
『下駄箱に手紙入れんなら、いじめとかダサい真似じゃなく、俺の良さを広めるためにやってほしいな』
やれやれと肩をすくめて、あたしから離れていく。
見知らぬイケメンは校舎を出る一歩手前で、『あっ!』と何かひらめいたみたいに声を上げた。
『そうだ、コレだ!』
嬉しそうにそう言って、軽い足取りで去っていった。
……結局、何だったの。
あたしに話しかけたくせに、完全にあたしの存在をシカトしてたし。
おかしな人。
でも。
『ふっ』
笑ってる自分がいた。
いじめによるストレスや無神経さが、些細なことのように感じてきた。
さっきの人、誰だったんだろう。
悩みができてもすぐ解決できて、毎日楽しんでそうな人だったな。
最終的には、だだ下がりだったはずの好感度がちょっと上がっていた。



