面倒なことに巻き込まれた件にイラついてるのは、言わずもがななんだけど。
それよりもイラつくのは、あの俺様。
あいつ自身に、だ。
「やっぱり、あいつって……あの時のあの人、だよね」
――あれは、1か月前。
どしゃ降りの雨の日だった。
放課後になって帰ろうと、生徒玄関に行き下駄箱を開けたら、1通の手紙が入っていた。
手紙と言っても、今日みたいな金ぴかのド派手な封筒付きの手紙じゃなくて。
ノートの切れ端をちぎった、名ばかりの手紙。
そこには『ブス』『最低』『消えろ』なんて悪口が、紙切れいっぱいに殴り書きされていた。
端的に言えば、幼稚ないじめをされてました、はい。
気持ちが静まったのか、それとも金色のなんちゃらイベントに興味が逸れたのか、今ではすっかりいじめといういじめはなくなったけれど、友達はいない。



