ぞわぞわっ、と背筋が凍る。
あの俺様が何か企んだ気がして、怖くて振り返ることもできない。
……ありえない。
あたし・能登玲奈は、現実逃避するかのように、早足に廊下を進んでいた。
どうやら今日のあたしの運は、最悪らしい。
不機嫌に教室の扉を開け、自分の席へ一直線に移動する。
ドカッとカバンを机の上に置き、椅子に座った。
クラスメイトの何か言いたげな視線が、グサグサ突き刺していて、痛い。
「チッ」
あ、つい舌打ちしちゃった。
教室の空気が悪くなったけど、まあいいや。
どうでもいい。
あー、ほんと、ありえない!



