親戚に会って来ると彼が言ったのは、夏が終わる頃だった。

肌寒さを感じるようになり、私たちの長袖に違和感がなくなり始めていた。
彼は普段なら絶対に着ないタイトなスーツに身を包んで、器用にネクタイを締めていた。細いベルトを通していつもと違うシックな腕時計をして、普段はボサッとしている髪が今日はワックスで後ろに流されている。

元々185センチという長身だ。
モデルのような見た目だと以前から薄々思って来たけれど、スーツ姿を見て確信した。
やっぱりこの人は格好良い。
後ろに余った髪をうなじのところでお団子に結わえて、普段している大きなピアスを透明なものに付け替えていた。
 
何の仕事をしているのか分からないところはいつも通りだけれど、堅気の人には見えないけれど、その分私の好きな彼が最大限に引き出されているような気がした。